インボイス登録のやり方|個人事業主の申請手順と必要なもの(2026年)
公開日: 2026/8/11
この記事でわかること
「インボイスに登録すると決めた。で、具体的にどうやるのか」——この記事はその手順だけをまとめたものです。
登録すべきかどうかで迷っている段階の方は、先にインボイス制度 個人事業主は登録すべき?判断フローをご覧ください。ここでは「登録すると決めた人が、実際に申請を終えるまで」を扱います。
本記事は2026年8月(令和8年8月)時点で国税庁・e-Taxの公開情報を確認して作成しています。制度・様式・処理期間は変更されることがあるため、手続きの前に必ず国税庁インボイス制度特設サイトで最新をご確認ください。個別の判断は税理士等の有資格者にご相談ください。
申請方法は2つ。個人事業主はe-Taxが推奨
登録申請の方法は「e-Tax」と「書面(郵送)」の2つです。
| e-Tax | 書面(郵送) | |
|---|---|---|
| 提出先 | オンライン | 納税地を管轄するインボイス登録センター |
| 登録通知までの目安 | 約1か月 | 約1.5か月 |
| 通知の受け取り | 電子データ(e-Taxのメッセージボックス) | 書面の通知書 |
| 紛失時 | データなので再取得しやすい | 通知書は再発行されません |
国税庁は「e-Taxソフト(WEB版)では問答形式で入力漏れなくスムーズに申請できる」としてe-Taxでの申請を案内しています。通知が早く、書面と違って紛失の心配もないため、個人事業主はe-Taxが第一候補です。
なお、e-Taxソフト(WEB版)はダウンロード不要でパソコン・スマホ・タブレットから利用できますが、スマホ・タブレットからの利用は「国内の個人事業者」に限られます(該当する方はスマホだけで完結できます)。
書面で出す場合の注意:送り先は税務署ではありません
書面で提出する場合、郵送先は所轄税務署ではなく「インボイス登録センター」です。全国12か所(札幌・仙台・関東信越・東京・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・熊本・沖縄)に設置され、都道府県単位で管轄が決まります。ここを間違えると余計に時間がかかります。
管轄と送付先は移転することがあるため、住所は必ず国税庁の各局(所)インボイス登録センターのご案内でご確認ください。
インボイス登録センターは申請書の処理を行う組織で、制度に関する相談・質問は受け付けていません。相談はインボイスコールセンター(0120-205-553/9:00〜17:00・土日祝を除く)か、所轄税務署の予約制個別相談をご利用ください。
e-Taxで申請するときに必要なもの
国税庁が挙げている準備物は、次の2つです。
- 電子証明書(マイナンバーカードなど)
- 利用者識別番号(e-Taxを使うために必要な16桁の番号)
利用者識別番号を持っていない場合も、e-Taxソフト(WEB版)でその場で取得できます。したがって個人事業主の最短ルートは「マイナンバーカードを用意 → e-Taxソフト(WEB版)にアクセス → 利用者識別番号を取得 → 問答形式で申請」という流れになります。
スマホでのマイナンバーカードの読み取り手順は環境によって異なるため、e-Taxの案内および国税庁が公開している事業者区分別の作成マニュアルをご確認ください。
申請書でつまずきやすい欄
登録申請書は初葉・次葉の2枚組で、次葉もあわせて提出します。個人事業主がつまずきやすいのは次の4か所です。
1. 事業者区分(国税庁が「誤りが多い」と名指しで注意喚起) 「1=課税事業者/2=免税事業者/3=新規開業等した事業者」から選びます。判定の目安は2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円超なら課税事業者、1,000万円以下なら免税事業者です。ここを間違える人が多いと国税庁が公表しているので、慎重に確認してください。
2. 「氏名」欄は屋号ではありません 様式にも「注:屋号ではありません」と書かれています。屋号で活動している方ほど間違えやすい欄です。
3. 「納税地」欄は税務署の所在地ではありません こちらも様式に「注:税務署所在地ではありません」と注記があります。自分の納税地(原則は住所地)を書きます。
4. 免税事業者が期中に登録する場合の「登録希望日」 次葉の「免税事業者の確認」でa(免税事業者である課税期間中に登録を受ける)を選ぶ場合、登録希望日の記載を忘れないでください。この欄には個人番号(マイナンバー)・生年月日・事業内容もあわせて記載します。
自分がどのケースに当てはまるかは、国税庁が公開している「ケース別 登録申請書の書き方(フローチャート)」で確認できます。様式や記載要領は改訂されるため、国税庁の登録申請手続のページから最新版を入手してください。
いつから発行事業者になれるか(15日ルール)
「登録の効力がいつ発生するか」は、申請のタイミングで変わります。ここは取引開始日が決まっている人には特に重要です。
- 原則:税務署長が登録をした日から効力が生じます(事前に日付は確定しません)
- 免税事業者が期中に登録する場合(経過措置):申請書に「登録希望日」を書くことで、その日から登録を受けられます。登録希望日は提出日から15日以降の日である必要があります。税務署の処理が登録希望日より後になっても、登録希望日に登録を受けたものとみなされます
- 翌課税期間の初日から登録したい場合:その課税期間の初日から起算して15日前の日までに提出が必要です
- 新たに事業を開始した人:その課税期間の末日までに申請すれば、課税期間の初日にさかのぼって登録を受けられます。個人事業者の「課税期間の初日」は開業日ではなく、事業を開始した年の1月1日である点に注意してください
この経過措置が使えるのは令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合で、2026年8月時点は範囲内です。この経過措置で登録する場合、「消費税課税事業者選択届出書」の提出は不要です。
国税庁は登録希望日を計算できるExcelツールも配布しています。日付の逆算に不安がある方は活用してください。
登録番号は「T+13桁」。マイナンバーとは無関係です
登録されると「T」で始まる13桁の登録番号が付与されます。よくある誤解ですが、個人事業者の登録番号にマイナンバーは使われません。
国税庁の記載要領には、法人番号を持たない事業者の13桁について「法人番号と重複しないものとし、当該課税事業者の個人番号とも重複しないもの」と明記されています。つまり、まったく別の番号が新たに振られます。
登録すると「氏名」が公表されます
ここは、匿名や屋号で活動しているフリーランスにとって最も重要な点かもしれません。
登録されると国税庁 適格請求書発行事業者公表サイトで情報が公表されます。個人事業者の場合、自動的に公表されるのは「氏名」と「登録番号・登録年月日」です。住所は原則として公表されません。
申出により追加で公表できるのは次の項目です。
- 主たる屋号
- 主たる事務所の所在地等
- 通称(住民票に併記されているものに限る)
- 旧姓(旧氏)氏名(原則、住民票に併記されているものに限る)
これらを公表するには「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を別途提出します(登録申請書と同時に出せば、反映された状態で公表されます)。
注意したいのは、「屋号だけ公表して氏名を隠す」ことはできないという点です。屋号は氏名に追加して公表できるもので、氏名の公表自体は避けられません。ただし通称・旧姓については、氏名として公表するか氏名と併記するかを選べる制度があるため、該当する方は国税庁の案内をご確認ください。
登録したあとにやること
1. 請求書の様式を変える 適格請求書には、登録番号・取引年月日・取引内容(軽減税率対象ならその旨)・税率ごとに区分した対価の額と適用税率・税率ごとに区分した消費税額等・交付先の氏名等の記載が必要です。交付した適格請求書の写しの保存義務もあります(保存期間は課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間)。具体的な書き方はフリーランスの請求書 インボイス記載項目と書き方で解説しています。
2. 消費税の申告が必要になる 登録を受けると、基準期間の課税売上高にかかわらず消費税の納税義務は免除されません。免税事業者が登録した場合、原則として登録日から2年間は課税事業者となります。個人事業主の消費税の申告期限は翌年3月31日で、所得税(3月15日)とは異なる点に注意してください。詳しくは個人事業主の消費税 確定申告のやり方へ。
3. 負担軽減の特例を確認する 2割特例は個人事業主は令和8年分(2026年分)が最後です。その後は令和8年度税制改正で新設された3割特例があり、一定の要件を満たす個人事業者は令和9年分・令和10年分について納付税額を売上税額の3割にできます(令和11年分は適用不可、法人は令和9年分以降いずれも不可)。試算はインボイス2割特例の損益シミュレーションで確認できます。
自分の対応状況に抜けがないかは、インボイス・電子帳簿保存法 対応セルフチェック(無料・登録不要)でも確認できます。
登録をやめたくなったら
「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出します。
- 提出期限:翌課税期間の初日から効力を失わせるには、その初日から起算して15日前の日まで
- 期限を過ぎると、効力が失われるのは翌々課税期間の初日になります(1年待つことになります)
- 提出先は納税地を管轄するインボイス登録センターです
ただし、ここが最も見落とされる点です。 経過措置で登録した免税事業者は、登録日以後2年を経過する日の属する課税期間の末日までは免税事業者に戻れません。登録の効力が失われても、その間は基準期間の課税売上高にかかわらず課税事業者として消費税の申告が必要です。「合わなかったらすぐ戻せる」制度ではない点を理解してから登録してください。
登録後の実務を軽くする
登録後は、請求書への登録番号記載・税率ごとの区分経理・消費税申告が日常業務になります。手作業だと負担が重いため、会計ソフトで自動化するのが現実的です。
インボイス対応の請求書発行と消費税申告に対応した定番は、マネーフォワード クラウド会計 マネーフォワード クラウド会計・確定申告の公式サイトを見るPR と freee会計 freee会計の公式サイトを見るPR(いずれも広告・PR)です。コスト重視なら やよいの青色申告 オンライン やよいの青色申告 オンラインの公式サイトを見るPR(広告・PR)も選択肢になります。
会計ソフトの入門プランと上位プランの主な違いは、青色/白色の別ではなく消費税申告(インボイス対応)機能の有無であることが多い点に注意してください。登録して課税事業者になるなら、消費税申告に対応したプランが必要です。たとえばfreee会計 スターター・マネーフォワード パーソナルミニでは消費税申告ができません(弥生は全プランで対応。2026年9月23日に各社公式で確認)。課税事業者向けのプランと年額は会計ソフト比較ガイドの「状況別:選ぶプランと年額」の③にまとめています。
まとめ
- 申請方法はe-Taxと書面。国税庁はe-Taxを案内しており、通知も早い(目安 約1か月 対 約1.5か月)
- 書面の郵送先は所轄税務署ではなくインボイス登録センター
- つまずきやすいのは事業者区分(国税庁が誤りの多さを名指しで注意喚起)、氏名欄(屋号ではない)、納税地欄、登録希望日
- 登録番号はT+13桁で、個人のマイナンバーとは無関係の番号
- 氏名は公表されます(住所は原則非公表/屋号は別途申出で追加公表)
- 登録すると消費税の申告義務が生じ、免税事業者に戻るには2年の制限がある
制度・様式・処理期間は変更されます。手続きの前に必ず国税庁インボイス制度特設サイトで最新をご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務相談ではありません。判断に迷う場合はインボイスコールセンター(0120-205-553)、所轄税務署、または税理士にご相談ください。
出典
- 国税庁 インボイス制度特設サイト
- 国税庁 インボイス発行事業者登録申請手続
- 国税庁 D1-64 適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)
- 国税庁 各局(所)インボイス登録センターのご案内
- 国税庁 D1-67 公表事項の公表(変更)申出手続
- 国税庁 D1-70 登録の取消しを求める旨の届出手続
- 国税庁 令和8年度税制改正特集(インボイス制度)
- 国税庁 適格請求書発行事業者公表サイト
- e-Tax 電子証明書・利用者識別番号取得方法等のご案内