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会計・税務

個人事業主の消費税 確定申告のやり方|一般・簡易・2割特例(2026年)

公開日: 2026/6/30

本記事は、国税庁・e-Tax などの一次情報を確認のうえ、ひとり開業ラボ編集部が作成しています。 税制・料金・要件は改正されることがあるため、手続きの前に各公式サイト・所管官庁で最新情報をご確認ください。個別の判断は税理士など有資格者にご相談ください。
この記事でわかること

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重要な前提:本記事は個人事業主・フリーランス向けの一般的な情報整理です。消費税の課税事業者の判定や有利・不利の判断、届出のタイミングは個別事情で変わり、税務の個別相談・代行は税理士など有資格者の業務です。当サイトは税務代理・税務相談を行いません。記載の制度・数値は2026年6月時点の目安で、未施行の改正は「予定」として扱っています。最新は国税庁など公式でご確認ください。

インボイス登録や売上の増加で「課税事業者」になると、所得税とは別に消費税の確定申告が必要になります。計算方法には一般課税(本則課税)・簡易課税・2割特例の3つがあり、どれを選ぶかで納める税額も手間も変わります。この記事では、誰が申告するのか、3つの方式の違いと選び方、申告の流れ、期限までを実務目線で整理します。

なお「そもそもインボイス登録をすべきか」から考えたい方は、インボイス登録を判断するポイントもあわせてご覧ください。

まず確認:消費税を申告するのは「課税事業者」だけ

消費税を申告・納付する義務があるのは課税事業者です。免税事業者は消費税の申告は不要です。個人事業主が課税事業者になる主なパターンは次のとおりです。

  • 基準期間(その年の2年前)の課税売上高が1,000万円を超える:たとえば2026年(令和8年)分の判定は、2024年(令和6年)の課税売上高で行います。
  • 特定期間の課税売上高(または給与等支払額)による判定に該当する:基準期間が1,000万円以下でも、前年の上半期などの判定で課税事業者になる場合があります。
  • インボイス(適格請求書発行事業者)の登録をした:登録すると、免税事業者であっても課税事業者として消費税の申告が必要になります。

判定にはいくつかの例外や細かいルールがあります。自分が課税事業者にあたるか不明な場合は、国税庁の案内を確認のうえ、税理士など有資格者にご相談ください。所得税の確定申告とは別の手続きである点もあわせて押さえておきましょう。

消費税の申告書では、まず自分が「一般課税・簡易課税・2割特例」のどれで計算するかを決めるところからスタートします。

消費税の計算方式は主に3つ

課税事業者の消費税は、ざっくり「売上で預かった消費税」から「仕入・経費で支払った消費税」を差し引いて納めるのが基本です。その差し引き方に応じて、主に次の3つの方式があります。

1. 一般課税(本則課税)

売上にかかる消費税 − 仕入れ・経費にかかった消費税(仕入税額控除) で納税額を計算する原則的な方法です。実際に支払った消費税を実額で差し引くため、設備投資や仕入れが多い年は納税額が小さくなりやすいのが特徴です。

ただし仕入税額控除を受けるには、原則としてインボイス(適格請求書)等と帳簿の保存が要件になります。取引ごとに税率(10%・軽減8%)の区分や控除可否の判断が必要で、3方式の中では集計の手間が大きくなりがちです。

2. 簡易課税

売上にかかる消費税 × みなし仕入率 で仕入税額控除をみなし計算する方法です。実際の仕入れの消費税を集計しなくてよいため事務負担が軽くなります。利用には次の要件があります。

  • 基準期間の課税売上高が5,000万円以下であること
  • 消費税簡易課税制度選択届出書」を、原則として適用を受けたい課税期間の初日の前日(前課税期間の末日)までに提出していること

みなし仕入率は事業区分ごとに定められています(後述の表を参照)。実際の仕入率よりみなし仕入率が高い業種では、簡易課税の方が納税額を抑えられることがあります。

3. 2割特例

納付税額 = 売上にかかる消費税額 × 20%(=売上にかかる消費税額の8割を控除とみなす)で計算できる経過措置です。インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になった人向けで、事前の届出は不要・確定申告のときに選択できます。基準期間の課税売上高が1,000万円超の人や、資本金1,000万円以上の新設法人など、もともと課税事業者だった人は対象外です。

個人事業主の場合、2割特例が使えるのは令和8年(2026年)分が最後とされています(詳しくは後述)。小規模なケースでは2割特例が有利になりやすい傾向ですが、業種によっては簡易課税の方が少なくなることもあります。

3方式の比較表

3つの方式の主な違いを整理すると次のとおりです(標準税率10%・概要の比較です)。

比較項目一般課税(本則課税)簡易課税2割特例
計算の考え方売上の消費税 − 実際の仕入・経費の消費税売上の消費税 − 売上の消費税×みなし仕入率売上の消費税 × 20%
事前の届出不要(原則の方式)必要(簡易課税制度選択届出書)不要(申告時に選択)
主な要件基準期間の課税売上高5,000万円以下インボイスを機に課税事業者・基準期間の課税売上高1,000万円以下 等
事務負担大きめ(実額集計・インボイス保存)中(売上の区分が中心)小(売上税額のみで計算)
有利になりやすい場面設備投資・仕入れが多い年みなし仕入率>実際の仕入率の業種小規模で経費の消費税が少ないケース 等
個人の利用可否いつでも要件を満たせば令和8年(2026年)分まで

どの方式が有利かは、売上・経費の構造や年ごとの状況で変わります。「必ずこれが得」と断定はできないため、複数年の見通しを踏まえて検討するのが安全です。

簡易課税の「みなし仕入率」(事業区分)

簡易課税では、事業区分ごとに次のみなし仕入率を使います。1人で複数の事業を営む場合は、それぞれの売上を区分して計算するのが原則です。

国税庁 タックスアンサー No.6505「簡易課税制度」の画面(2026年6月確認)

出典:国税庁ホームページ No.6505「簡易課税制度」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm )を基に画面の一部をキャプチャ(2026年6月確認)。最新は公式ページでご確認ください。

事業区分主な業種の例みなし仕入率簡易課税の納税(売上税額×)
第1種卸売業90%×10%
第2種小売業・農林漁業(飲食料品の譲渡)80%×20%
第3種製造業・建設業・鉱業・農林漁業(飲食料品以外)等70%×30%
第4種飲食店業 等(他の区分以外の事業)60%×40%
第5種サービス業(飲食店業を除く)・運輸通信業・金融保険業 等50%×50%
第6種不動産業40%×60%

たとえばサービス業(第5種・みなし仕入率50%)なら、納税額は「売上税額×50%」の概算になります。フリーランスのサービス業は第5種にあたることが多いですが、実際の事業区分は取引の実態で判断されます。区分の当てはめに迷う場合は国税庁の案内や税理士でご確認ください。

2割特例は個人は2026年分が最後|その後の選択肢

2割特例は経過措置のため、個人事業主は令和8年(2026年)分が適用の最後にあたります。終了後を見据えて、早めに次の方式を検討しておくと安心です。

  • 令和9年(2027年)・令和10年(2028年)分:一定の個人事業者について、納付税額を**売上税額の30%**とする「3割特例」が示されています(インボイス発行事業者で基準期間の課税売上高1,000万円以下など、一定の要件)。制度の詳細・適用要件は最新情報での確認が必要です。
  • 簡易課税への移行の特例:2割特例を適用した課税期間の翌課税期間中に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、その課税期間から簡易課税を適用できる特例があるとされています。通常の「適用課税期間の初日の前日(前課税期間の末日)まで」の届出より柔軟に切り替えられる点が実務上のポイントです。
  • 上記に当てはまらない場合:原則どおり、一般課税か簡易課税(要届出)を選びます。

2割特例の終了後にどの方式が有利になるかは、自分の事業区分(みなし仕入率)と経費構造で変わります。売上別の概算はインボイス2割特例の損益シミュレーションで確認できます。未施行・経過措置の内容は変更される可能性があるため、最新は国税庁でご確認ください。

どの方式を選ぶ?判断のヒント

絶対的な正解はありませんが、判断のヒントを挙げます(いずれも傾向であり、断定はできません)。

  • 使えるうちは2割特例が小規模に有利なことが多い:経費の消費税が少ない小規模事業では、売上税額×20%で済む2割特例が有利になりやすい傾向です。
  • 設備投資・仕入れが多い年は一般課税が有利なことがある:高額な機材購入や仕入れがある年は、実額で控除できる一般課税で納税額が下がる(場合によっては還付になる)ことがあります。
  • みなし仕入率>実際の仕入率なら簡易課税が有利なことがある:実際の仕入率が低い業種は、みなし仕入率で計算する簡易課税が有利になりやすい傾向です。
  • 手間も判断材料:一般課税は実額集計とインボイス保存が必要で事務負担が大きめ。簡易課税・2割特例は集計が軽い分、人によっては選びやすい方式です。

簡易課税はいったん選ぶと原則2年間は継続するなどの拘束もあるため、単年だけでなく数年の見通しで考えるのが安全です。有利・不利の最終判断は、会計ソフトのシミュレーションや税理士でご確認ください。

迷ったら、まずは消費税のしくみと税金の早見表で全体像をつかむのもおすすめです。

申告・納付の流れと期限

個人事業主の消費税の確定申告は、おおむね次の流れで進みます。

  1. 課税事業者かどうか・方式を確認する:基準期間等で課税事業者か判定し、一般課税/簡易課税/2割特例のどれで計算するかを決めます。
  2. 取引を税率区分して集計する:売上・仕入・経費を、10%・軽減8%・対象外などに区分して集計します。一般課税ではインボイスの保存・控除可否の確認も行います。
  3. 消費税の申告書を作成する:選んだ方式に応じて、消費税および地方消費税の確定申告書を作成します。
  4. 申告・納付する:所轄税務署へ申告し、消費税を納付します。e-Taxでの電子申告にも対応しています。

期限は原則として課税期間(12月31日の属する課税期間)の翌年3月31日です。所得税の確定申告期限(翌年3月15日)とは日付が異なるため、混同しないよう注意しましょう。納付方法には、ダイレクト納付や振替納税などもあります(期限・方法の最新は国税庁で要確認)。電子申告の進め方はe-Taxで確定申告するやり方で解説しています。

集計・申告書作成は会計ソフトが要になる

消費税の申告でつまずきやすいのが、取引ごとの税率区分の集計申告書の作成です。とくに一般課税はインボイスの保存・控除可否の管理が加わり、手作業では負担が大きくなりがちです。クラウド会計ソフトを使うと、日々の記帳から税率区分・消費税申告書の作成までを一つの流れで進めやすくなります。

なお、消費税申告(インボイス対応)機能は上位プランが対象とされることがあります。自分の方式(簡易課税・一般課税など)に対応するか、プラン内容を公式で確認してから選びましょう。請求書側の対応はインボイス対応の請求書の書き方、ソフト選びは会計ソフトの比較もご覧ください。

どのソフトが自分に合うか迷う場合は、無料の会計ソフト診断や、インボイス・電帳法の対応状況を確認できるインボイス対応チェックも活用してください。

まとめ

  • 消費税を申告・納付するのは課税事業者。基準期間の課税売上高1,000万円超、特定期間の判定、またはインボイス登録で課税事業者になる。免税事業者は申告不要
  • 計算方式は主に3つ:一般課税(実額の仕入税額控除)/簡易課税(みなし仕入率)/2割特例(売上税額×20%)
  • 簡易課税は**基準期間の課税売上高5,000万円以下+事前の届出(適用課税期間の初日の前日まで)**が要件。みなし仕入率は事業区分で90〜40%
  • 2割特例は個人は令和8年(2026年)分が最後。その後は3割特例(令和9・10年分、要件あり)や簡易課税の届出特例、一般課税を検討
  • どれが有利かは事業内容で変わるため断定はできない。申告・納付期限は翌年3月31日(所得税の3月15日とは別)
  • 集計・申告書作成は会計ソフトが要。正確な判断は税理士など有資格者へ

免責・運営者情報

  • 本記事は2026年6月時点の一般的な情報をまとめたもので、正確性・最新性を保証するものではありません。制度・税率・期限・経過措置は変更されることがあり、未施行の改正は「予定」として記載しています。
  • 消費税の課税事業者の判定、方式の有利・不利の判断、届出のタイミングなどの個別の税務相談・税務代理は税理士など有資格者の業務です。当サイトはこれらを行いません。具体的な手続きは国税庁・所轄税務署でご確認のうえ、税理士など有資格者にご相談ください。
  • 運営者:ひとり開業ラボ編集部(運営者情報)。

出典

よくある質問

消費税の確定申告は、すべての個人事業主が必要ですか?
いいえ。消費税を申告・納付するのは「課税事業者」です。基準期間(その年の2年前)の課税売上高が1,000万円を超える場合や、特定期間の判定で課税事業者になる場合、インボイス(適格請求書発行事業者)の登録をして課税事業者になった場合などが該当します。免税事業者は消費税の申告は不要です(所得税の確定申告とは別の制度です)。判定の詳細や例外は国税庁でご確認のうえ、迷う場合は税理士など有資格者にご相談ください(2026年6月時点)。
2割特例はいつまで使えますか?
2割特例は、インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった人向けの経過措置で、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間に適用できるとされています。個人事業主の場合は令和8年分(2026年分)が適用の最後にあたります。事前の届出は不要で、確定申告のときに選べます。もともと課税事業者だった人(基準期間の課税売上高が1,000万円超の人や、資本金1,000万円以上の新設法人など)は対象外です。令和9年分・令和10年分については、一定の個人事業者について納付税額を売上税額の3割とする「3割特例」が示されています。最新の要件・期間は国税庁でご確認ください。
一般課税と簡易課税はどちらが有利ですか?
一概には言えず、事業内容によって変わります。一般課税(本則課税)は売上にかかる消費税から実際に支払った仕入・経費の消費税を差し引くため、設備投資など課税仕入れが多い年に有利になりやすい一方、簡易課税は事業区分ごとの「みなし仕入率」で計算するため、みなし仕入率が実際の仕入率より高い業種で有利になりやすい傾向です。簡易課税は事前の届出と、基準期間の課税売上高が5,000万円以下などの要件があります。正確な有利判定は会計ソフトのシミュレーションや税理士でご確認ください。
個人事業主の消費税の申告・納付期限はいつですか?
個人事業者の消費税および地方消費税の確定申告・納付の期限は、原則として課税期間(12月31日の属する課税期間)の翌年3月31日です。所得税の確定申告期限(翌年3月15日)とは日付が異なる点に注意してください。期限が土日祝にあたる場合は翌平日にずれることがあります。e-Taxやダイレクト納付・振替納税などの納付方法もあります。最新の期限・方法は国税庁でご確認ください(2026年6月時点)。
簡易課税を選ぶには、いつまでに何を出せばよいですか?
簡易課税を適用するには、原則として適用を受けたい課税期間の初日の前日(前課税期間の末日)までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄税務署へ提出します(基準期間の課税売上高が5,000万円以下が要件)。なお、2割特例を適用した課税期間の翌課税期間中に同届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税を適用できる特例があるとされています。届出のタイミングは判断を誤りやすい論点のため、最新の取扱いを国税庁で確認し、必要に応じて税理士へご相談ください。

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