確定申告を税理士に頼むといくら?費用の考え方と無料で相談できる窓口
公開日: 2026/9/3
この記事でわかること
「確定申告、自分でやるのがしんどい。税理士に頼むといくらかかるんだろう」——毎年この時期に増える悩みです。
検索すると「丸投げなら5〜10万円」といった数字がたくさん出てきますが、これらに公的な裏付けはありません。この記事では、なぜ相場を断定できないのかをまず説明し、そのうえで無料で相談できる公的な窓口と、依頼する場合の考え方を整理します。
大前提:税理士報酬に「公的な相場」は存在しません
これは意外と知られていない事実です。
かつては税理士会が報酬規定(報酬額表)を定めていましたが、2002年(平成14年)4月1日施行の改正税理士法で廃止されました。日本税理士会連合会は公式サイトで、その後は「税理士又は税理士法人は自由な意思のもと自己責任と説明責任に基づいて報酬を算定し委嘱者に請求することとなりました」と説明しています。
つまり、国が定めた料金表も、業界の標準額も、現在は存在しません。
さらに調べると、次のこともわかります。
- 政府統計に税理士報酬の項目がない:中小企業庁の中小企業実態基本調査の費用項目にも、税理士報酬に相当する独立項目は見当たりません
- 日税連の実態調査は一般に見られない:税理士実態調査報告書は会員専用ページにあり、一般の閲覧ができません。しかも「無断で複写、複製、転載、転用及び配布することを固く禁じます」と明記されています
したがって、ネット上の「相場」はすべて民間の税理士紹介サイト・比較サイト・会計ソフト会社による自社調査やヒアリングです。参考にはなりますが、公的な基準ではないという前提で見てください。
費用を知る唯一確実な方法は、複数の事務所から見積もりを取ることです。 日税連も「委嘱の範囲と報酬額について契約書を締結されることをお勧めします」と案内しています。
見積もりで金額が変わるポイント
同じ「確定申告をお願いします」でも、次の条件で金額は大きく変わります。見積もりを取るときはここを揃えて聞くと比較しやすくなります。
- 記帳代行を含むか(自分で記帳を終わらせて申告だけ頼むのか、領収書の束から任せるのか)
- 事業規模と取引件数
- 消費税の申告があるか(課税事業者かどうか)
- 資料の整理状況(整理済みか、丸ごとか)
- スポット依頼か顧問契約か
まず検討したい:無料で相談できる公的な窓口
依頼する前に、こちらを知っておくと選択肢が広がります。いずれも公的機関などによる無料のサービスです。
| 窓口 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 国税庁 チャットボット「ふたば」 | AIが所得税・消費税の質問に自動回答 | 24時間・土日夜間も利用可 |
| 確定申告書等作成コーナー | 画面の案内に沿って入力すると税額を自動計算、e-Tax送信も可能 | 国税庁は「約9割の方が会場に来場せず申告している」と公表 |
| 税務署の申告相談 | 確定申告会場での個別相談 | 確定申告期は事前予約制+入場整理券。提出だけなら整理券不要、郵送も可 |
| 国税相談専用ダイヤル | 0570-00-5901(音声ガイダンスで選択) | 確定申告期は電話相談センターにつながる |
| 記帳・決算等説明会 | 白色申告者等に記帳の仕方・帳簿保存を説明 | 無料。インボイスで課税事業者になった人向けの消費税説明会もある |
| 日本税務研究センター 税務相談室 | 電話での税務相談。担当は税理士 | 一般の納税者も無料。月〜金10:00〜11:45/13:00〜14:45。※一般的な相談が対象、個別具体的な事案と税理士紹介は対象外 |
| 各地の税理士会の無料相談会 | 全国15の税理士会が実施 | 税理士記念日(2月23日)を中心に開催。日程は各税理士会へ |
| 商工会議所の記帳相談 | 記帳の仕方から決算まで(例:東京商工会議所は個人事業主向けに無料・予約制) | 会計ソフトの操作は対象外の場合あり |
| 青色申告会 | 記帳から決算・申告の支援、複式簿記・貸借対照表にも対応 | 会費・入会金が必要(金額は会ごとに異なるため各会に確認を) |
確定申告期の日程・予約方法は毎年変わります。直近の令和7年分は令和8年2月16日〜3月16日で、相談希望者はLINEでのオンライン事前予約が案内されていました(2月13日までは電話予約も受付)。令和8年分の日程・予約方法は本記事の執筆時点で未公表のため、国税庁の確定申告特集ページで必ず最新をご確認ください。
「税額の計算まではいらない、記帳のやり方だけ知りたい」という段階なら、これらで足りることも多いはずです。
税理士に頼めること・頼まなくてもよいこと
依頼範囲を整理しておくと、見積もりの読み方が変わります。
税理士の独占業務(税理士法2条1項)
- 税務代理 — 申告や、税務調査での主張・陳述を代理・代行する
- 税務書類の作成 — 申告書などを作成する
- 税務相談 — 課税標準等の計算に関する事項の相談に応じる
これらは税理士・税理士法人以外は行えません(同法52条)。違反には2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。重要なのは、「業として行う」は無償でも該当するとされている点です。「無料だから大丈夫」は通りません。
独占業務ではないもの
- 記帳代行は税理士法2条2項の付随業務として別に規定されており、独占業務には含まれません。国税庁も、税理士業務に付随しない記帳代行は税理士法違反にならないとしています
- 会計ソフトの開発・販売も税理士業務にはあたりません
つまり、記帳は自分でやる(またはソフト・記帳代行に任せる)→ 申告書の作成と提出だけ税理士に頼むという分け方も可能です。ここを分けると費用を抑えられる場合があります。
SNSの節税情報に注意:令和5年の改正で税理士法54条の2が新設され、税理士でない者が税務相談を行い納税義務の適正な実現に重大な影響を及ぼすおそれがある場合、財務大臣が税務相談の停止等を命じられるようになりました。国税庁はその立法趣旨として「近年、SNSの普及等に伴い、税理士等でない者によって不特定多数の者に脱税相談(指南)等が行われるリスクが高まっている」ことを挙げています。無資格者の「節税テクニック」を鵜呑みにするリスクは、法令上も想定されているということです。
依頼を検討するきっかけになりやすい場面
「売上◯◯万円を超えたら税理士へ」という公的な基準はありません。 よく言われる1,000万円は消費税の課税事業者を判定する基準であって、依頼の要否とは別の話です。
そのうえで、手続きが実際に複雑になるのは次のような場面です。
- 消費税の申告が必要になった(インボイス登録をした/基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた)
- 法人化を検討している(個人 vs 法人の比較で概算を出したうえで相談すると話が早い。社会保険料の圧縮を目的とするマイクロ法人も、実態要件やコストの判断が必要な領域です)
- 税務調査の連絡が来た
- 記帳が何か月も止まっていて、自力で年内に追いつく見通しが立たない
税務調査については、国税庁が公表している令和6事務年度(令和6年7月〜令和7年6月)の所得税の数字が参考になります。実地調査は4万7千件ですが、文書や電話による「簡易な接触」は68万9千件とその約15倍あり、追徴税額は1,431億円と過去最高でした。国税庁は調査対象の選定にAIを活用しているとも明記しています。
税理士を探す方法
自分で探す場合、日本税理士会連合会が運営する税理士情報検索サイトで、登録の有無・事務所所在地・懲戒情報を無料で確認できます。契約前の確認手段として、まずここを使ってください。
条件を伝えて紹介してもらう場合、民間の税理士紹介サービスがあります。地域・予算・業種などの希望を伝えると、条件に合う税理士を紹介してもらえる仕組みです。自分で一件ずつ問い合わせる時間がない場合の入口になります。
確定申告や記帳の相談先を探したい場合の選択肢のひとつ → 税理士紹介ネットワークの公式サイトを見るPR(広告・PR)
公平のために明記しておきます。 日本税理士会連合会は「インターネット上に存在する種々の税理士紹介サイトは日本税理士会連合会とは一切関係がありませんのでご留意ください」と案内しています。紹介サービスは民間事業者が運営するもので、公的機関とは無関係です。紹介を受けた場合も、契約前に税理士情報検索サイトで登録と懲戒情報を確認し、業務範囲と報酬を契約書で明確にすることをおすすめします。
そもそも自分でやる、という選択肢
費用を抑えたいなら、道具で自力の負担を下げる方法もあります。記帳が自動化できれば、申告書の作成まで自分で完結できるケースは少なくありません。
- 口座・カード連携で記帳を自動化する → freee会計 freee会計の公式サイトを見るPR(広告・PR)
- スマホだけで完結させたい・仕訳を丸投げしたい → 確定申告アプリ タックスナップ タックスナップ(確定申告アプリ)の公式サイトを見るPR(広告・PR)
書類の準備は確定申告の必要書類チェックリスト(無料DL)、全体の流れは初めてのフリーランス確定申告ガイド、自宅兼事務所の経費は家事按分のやり方で整理しています。
まとめ
- 税理士報酬に公的な相場はありません。2002年に報酬規定が廃止され自由化されており、政府統計にも項目がありません。ネットの「相場」は民間の調査によるものです
- 費用を知るには複数の事務所から見積もりを取るのが確実。記帳代行を含むか、消費税の申告があるかで大きく変わります
- 依頼の前に、国税庁のチャットボット・作成コーナー・税務署の相談・日本税務研究センターの無料電話相談など公的な無料窓口を検討する価値があります
- 記帳代行は税理士の独占業務ではありません。記帳は自分やソフトで、申告だけ依頼するという分け方も可能です
- 「売上1,000万円を超えたら依頼」という公的基準はありません。1,000万円は消費税の判定基準です
- 契約前に税理士情報検索サイトで登録・懲戒情報を確認し、業務範囲と報酬を契約書で明確に
本記事は2026年9月時点で、税理士法(e-Gov法令検索)、日本税理士会連合会、国税庁の公開情報を確認して作成した一般的な情報提供であり、税務相談ではありません。確定申告期の日程・予約方法は毎年変わります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご相談ください。
出典
- 税理士に相談する(日本税理士会連合会)(報酬規定の廃止・契約書の推奨・ニセ税理士への注意喚起)
- 税理士法(e-Gov法令検索)(2条・52条・54条の2・59条)
- 税理士の業務(国税庁)
- 税理士法違反行為(国税庁)
- 税理士情報検索サイト(日本税理士会連合会)
- 税務相談室のご利用案内(日本税務研究センター)
- 税についての相談窓口(国税庁)
- チャットボット(ふたば)に質問する(国税庁)
- 記帳・決算等説明会のご案内(国税庁)
- 令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況(国税庁)