青色事業専従者給与とは|家族への給与で経費にする要件
公開日: 2026/6/30
この記事でわかること
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重要な前提:本記事は一般的な情報の提供を目的としたものであり、個別の税務判断を行うものではありません。専従者給与の金額設定・届出・控除との有利不利の判断は、税理士など有資格者にご相談ください。記載の制度・要件・金額は 2026年6月時点 の目安で、改正により変わることがあります。届出や支給の前に、国税庁など公式の最新情報を必ずご確認ください。
「家族に手伝ってもらっているなら、その分を給与として経費にできないか」——個人事業主・フリーランスが節税を考えるとき、よく出てくるのが青色事業専従者給与です。生計を一にする家族への給与を必要経費にできる制度ですが、配偶者控除・扶養控除とは重複できないなど、つまずきやすい論点がいくつもあります。
この記事では、①青色事業専従者給与の仕組み、②青色事業専従者の要件と届出、③最重要:配偶者控除・扶養控除と重ねて使えないこと、④白色申告の事業専従者控除との違い、⑤給与計算・源泉徴収など発生する事務までを、国税庁の情報をもとに整理します。誇大な表現は避け、出典と条件を併記します。
運営:ひとり開業ラボ編集部
結論:届出の範囲で「相当な額」を経費にできる
先に要点をまとめます。いずれも一般的な目安であり、最終判断はご自身の状況と最新の公式情報で行ってください。
- 青色事業専従者給与とは、青色申告者が、生計を一にする配偶者その他の親族で一定の要件を満たす人(青色事業専従者)に支払う給与を、事前に届け出た方法・金額の範囲内かつ労務の対価として相当と認められる額であれば必要経費に算入できる制度です。
- 要件は、(1)青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族、(2)その年12月31日現在で15歳以上、(3)その年を通じて6か月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その事業に専ら従事していること。
- 手続きは「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署へ提出します(原則その年の3月15日まで/新規開業等は2か月以内)。
- 最重要:専従者給与で経費化する人は、同一生計配偶者や扶養親族にはなれません。 どちらが有利かは世帯全体で比較します。
つまり「家族に給与を払えば自動的に得をする」わけではなく、届出・要件・控除との重複不可を押さえたうえで、世帯トータルで判断する制度だ、というのがこの記事で一番伝えたい点です。
一次情報(実際の画面):本記事の要件は国税庁の公式情報を確認して作成しています。

出典:国税庁ホームページ No.2075「青色事業専従者給与と事業専従者控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htm )を基に画面の一部をキャプチャ(2026年6月確認)。最新は公式ページでご確認ください。
そもそも青色事業専従者給与とは
事業を営む個人が、生計を一にする家族に支払う給与は、原則として必要経費に算入できないとされています。これは、家族への支払いを経費にできると恣意的に所得を分散できてしまうためです。
ただし、青色申告者については例外があり、一定の要件を満たす家族(青色事業専従者)に支払った給与を、届け出た方法・金額の範囲内で、かつ労務の対価として相当と認められる額であれば、必要経費に算入できるとされています。これが青色事業専従者給与です。
仕組みのポイントは次のとおりです。
| 観点 | 青色事業専従者給与のポイント |
|---|---|
| 対象者 | 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族で、一定の要件を満たす人 |
| 経費にできる額 | 事前に届け出た方法・金額の範囲内で、労務の対価として相当と認められる額 |
| 前提 | 青色申告の承認を受けていること、所定の届出書を提出していること |
| 受け取る家族側 | 給与所得が発生する(本人の税・社会保険等に影響することがある) |
事業全体の所得を、事業主と専従者で分けることになるため、世帯全体での税負担を考える視点が欠かせません。青色申告そのものの要件は青色申告のやり方|65万円控除を個人事業主が満たす手順で整理しています。節税の選択肢全体を見たい方は個人事業主の節税方法まとめもあわせてご覧ください。
青色事業専従者の要件(誰に払えるか)
給与を経費にできる「青色事業専従者」に該当するには、次のすべてを満たす必要があるとされています(2026年6月時点・最新は公式で要確認)。
- 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
- その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
- その年を通じて6か月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること
「専ら従事」がポイント
特に注意したいのが3つ目の「専ら従事」という要件です。これは、その事業に専念して従事していることを指します。
そのため、高校・大学などに通う学生や、他に職業がある人は、原則として「専ら従事している」とは認められないことが多いとされています。たとえば、平日は会社員として働きながら、空き時間に事業を手伝っているような家族は、専従者には当たりにくいと考えられます。
ただし、これには例外もあるとされています。たとえば、夜間学校に通いながら昼間は事業に専念しているなど、事業に専ら従事していると認められる場合は、学生でも該当することがあるとされています。実態に即した判断になるため、迷う場合は税理士など有資格者にご確認ください。
| 区分 | 専ら従事の扱い(目安) |
|---|---|
| 事業に専念している配偶者・親族 | 要件を満たしやすい |
| 昼間の学校に通う学生 | 原則として該当しにくい |
| 他に本業(会社員など)がある家族 | 原則として該当しにくい |
| 夜間学校に通い昼間は事業に専念 | 認められる場合があるとされる |
手続き:青色事業専従者給与に関する届出書
青色事業専従者給与を必要経費にするには、事前の届出が必要です。
提出期限と内容
「青色事業専従者給与に関する届出書」を、納税地の所轄税務署へ提出します。提出期限の目安は次のとおりです(2026年6月時点・最新は公式で要確認)。
- 原則:その年の3月15日まで
- その年の1月16日以後に新規開業した場合、または新たに専従者がいることになった場合:その開業または専従者がいることになった日から2か月以内
届出書には、専従者の氏名・続柄・仕事の内容や従事の程度・支給する給与の額や支給期(支給の方法)などを記載します。実際の支給は、この届け出た方法・金額の範囲内で行います。
届出を超えた分・届出がない場合
注意したいのは、届け出ていない、または届け出た方法・金額の範囲を超えて支給した部分は、必要経費に算入できないとされている点です。後から「やっぱりもっと払いたい」となっても、届出の範囲を超える部分は経費にできないため、支給を始める前に届出を済ませておくのが安全です。金額や方法を見直す場合は、変更の届出を行うことになります。
開業時にあわせて提出するケースが多く、開業届・青色申告承認申請書の出し方は開業届・青色申告承認申請書の書き方と提出のタイミングで整理しています。
最重要:配偶者控除・扶養控除とは重複できない
ここが、この制度で最も誤解されやすく、最も重要な注意点です。結論から言うと、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、同一生計配偶者や扶養親族にはなれません(配偶者控除・扶養控除との重複適用はできないとされています)。
「経費にする」か「控除を受ける」かの二者択一
たとえば、配偶者に青色事業専従者給与を払ってその給与を経費にした場合、その配偶者について配偶者控除を受けることはできません。逆に、配偶者控除を受けたいのであれば、その配偶者を青色事業専従者として給与を経費化することはできません。
つまり、その家族について、「専従者給与で経費にする」か「配偶者控除・扶養控除を受ける」かのどちらか一方を選ぶことになります。
| 選び方 | 経費・控除の扱い |
|---|---|
| 専従者給与で経費にする | 支払った給与(相当な額・届出範囲)を必要経費に算入。その家族について配偶者控除・扶養控除は受けられない |
| 配偶者控除・扶養控除を受ける | その家族について控除を適用。専従者給与による経費化はできない |
どちらが有利かは世帯全体で比較する
どちらが有利になるかは、事業の所得規模・家族の状況・受け取る側の税や社会保険への影響などによって変わります。一般に、ある程度の所得があり、家族が実際に事業へ専念しているケースでは専従者給与のメリットが出やすい一方、所得が小さい場合や控除のほうが大きい場合は、控除を選んだほうがよいこともあります。
「家族に給与を払えば必ず得」とは言い切れず、世帯トータルの税負担で比較することが欠かせません。具体的な有利不利のシミュレーションは個別性が高いため、税理士など有資格者にご相談ください。控除後の税額の目安は個人事業主の税金 早見表も参考になります。
白色申告の「事業専従者控除」との違い
家族の労務を所得計算に反映する仕組みは、白色申告にもあります。それが「事業専従者控除」です。青色の専従者給与とは仕組みが異なるため、違いを整理します。
白色は「払わなくても一定額を控除」
白色申告の事業専従者控除は、実際に給与を支払っていなくても、一定の要件を満たす事業専従者がいる場合に、一定額を所得から控除できる仕組みです。控除できる金額は、次のいずれか低い方とされています(2026年6月時点・最新は公式で要確認)。
- 事業専従者が配偶者なら最高86万円、配偶者以外の親族なら1人につき最高50万円
- 「この控除をする前の事業所得等の金額 ÷(事業専従者の数 + 1)」で計算した金額
たとえば事業専従者が配偶者1人だけの場合、「(控除前の)所得÷2」と86万円を比べて小さい方が控除額になる、というイメージです。
なお、白色申告の事業専従者についても、(1)白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること、(2)その年の12月31日現在で15歳以上であること、(3)その年を通じて6か月を超える期間その事業に専ら従事していること、という要件があるとされています。
青色との比較
| 項目 | 青色事業専従者給与 | 白色の事業専従者控除 |
|---|---|---|
| 前提 | 青色申告の承認+届出 | 白色申告(事前の届出は不要) |
| 金額 | 届け出た方法・金額の範囲内で相当と認められる額(実額) | 配偶者86万円・その他50万円が上限/控除前の事業所得等÷(専従者数+1)の小さい方 |
| 実際の支払い | 給与として実際に支給する | 支払いがなくても控除できる |
| 柔軟性 | 相当な額なら実額を経費化でき柔軟 | 上限・計算式により頭打ちになりやすい |
| 控除との重複 | 同一生計配偶者・扶養親族にできない | 同様に同一生計配偶者・扶養親族にできない |
青色のほうが金額面で柔軟ですが、青色申告の承認と事前の届出が前提になります。なお、白色・青色いずれも、専従者控除・専従者給与の対象になった家族は、同一生計配偶者や扶養親族にはできない点は共通しています。青色申告を始める手順は青色申告のやり方を参照してください。
金額は「相当な額」に。過大な部分は経費にできない
青色事業専従者給与は、届け出た範囲内であればいくらでも経費にできるわけではありません。労務の対価として相当であると認められる金額であることが求められ、相当な額を超える(過大とされる)部分は、必要経費に算入できないとされています。
「相当な額」かどうかは、次のような点をふまえて実態で判断されるとされています。
- 専従者が従事した仕事の内容・従事の程度(時間や責任)
- その事業の規模や収益(経営)の状況
- 同種・同規模の事業で、同様の業務に従事する他の使用人の給与水準や、一般的な給与水準との比較
たとえば、ほとんど事業に従事していない家族に高額の給与を払う、業務内容に比べて明らかに高すぎる、といったケースでは過大とされるおそれがあります。金額設定は、実際の労務に見合った水準にしておくことが大切です。判断に迷う場合は、税理士など有資格者にご相談ください。
給与を払う側・受け取る側に生じる事務と影響
専従者給与は「経費にできる」だけで終わりではなく、給与を払うことに伴う事務と、受け取る家族側への影響が生じます。ここを見落とすと、想定外の手間や負担が出ることがあります。
払う側:源泉徴収・年末調整などの事務
給与を支払う事業主の側には、給与の金額に応じて源泉徴収(所得税を天引きして納付すること)が必要になる場合があります。あわせて、年末調整や、市区町村への給与支払報告書の提出など、給与に関する事務が生じ得ます。給与の支払いを始めると「給与支払事務所等の開設届出書」の提出が必要になることもあります。
これらは毎月・毎年発生する事務のため、帳簿づけと給与計算・源泉徴収・申告を一つの流れで管理できる体制にしておくと、負担を抑えやすくなります。
専従者給与の事務をまとめて管理する会計ソフト (広告・PR)
専従者給与を導入すると、日々の帳簿づけに加えて、給与計算・源泉徴収・年末調整・申告といった事務が重なります。クラウド会計ソフトの多くは、帳簿づけから青色申告決算書・確定申告書の作成・e-Tax提出までを一つの流れで進めやすく、給与・源泉まわりの管理機能(または給与計算サービスとの連携)が用意されている傾向があります。
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受け取る側:給与所得が発生し、本人の税・社会保険にも影響
専従者給与を受け取る家族の側には、給与所得が発生します。給与所得には給与所得控除や基礎控除があるため、一定の範囲内であれば本人の所得税がかからないこともありますが、金額によっては本人に所得税・住民税が生じることがあります。
また、給与の額によっては、本人の社会保険(国民健康保険料など)や、配偶者の勤務先の扶養(社会保険の被扶養者の判定など)に影響することもあります。専従者給与の金額は、事業側の経費だけでなく、受け取る家族側の税・社会保険まで含めて世帯全体で考えることが大切です。
健康保険・年金まわりの基本は国保・国民年金への切り替え、確定申告全体の流れは確定申告のやり方 初めてのフリーランス完全ガイドも参考にしてください。
まとめ:届出・要件・控除との重複不可を押さえて世帯で判断
青色事業専従者給与は、家族への給与を経費にできる有力な仕組みですが、要件と注意点を押さえないと思わぬ手戻りになります。要点を整理します。
- 仕組み → 青色申告者が、生計を一にする一定の家族(青色事業専従者)に払う給与を、届け出た方法・金額の範囲内かつ相当と認められる額なら必要経費にできる。
- 要件 → (1)生計を一にする配偶者その他の親族、(2)その年12月31日現在で15歳以上、(3)6か月を超える期間(一定の場合は従事可能期間の1/2超)専ら従事。学生・他に職がある人は原則該当しにくい。
- 手続き → 「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出(原則3月15日まで/新規開業等は2か月以内)。届出の範囲を超える分は経費にできない。
- 最重要:控除と重複できない → 専従者給与の支払を受ける家族は、同一生計配偶者・扶養親族にできない(配偶者控除・扶養控除と重複不可)。どちらが有利かは世帯全体で比較。
- 白色との違い → 白色の事業専従者控除は支払いがなくても一定額(配偶者86万円・その他50万円が上限/控除前の所得÷(専従者数+1)の小さい方)。青色は届出範囲で実額を経費にでき柔軟。
- 金額 → 労務の対価として相当と認められる額に。過大な部分は経費にできない。
- 事務と影響 → 払う側は源泉徴収・年末調整等の事務、受け取る側は給与所得が発生し税・社会保険に影響することがある。
家族構成や所得規模によって、専従者給与と各種控除のどちらが有利かは変わります。金額設定や有利不利の判断に迷う場合は、税理士など有資格者へのご相談をおすすめします。なお、制度・要件・金額は2026年6月時点の情報です。届出や支給の前に、国税庁など公式の最新情報を必ずご確認ください。
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- 記載の制度・要件・金額は2026年6月時点の目安です。最新かつ正確な情報は国税庁等の公式でご確認ください。
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出典
- 国税庁 タックスアンサー No.2075「青色事業専従者給与と事業専従者控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2070「青色申告制度」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1191「配偶者控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1180「扶養控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm
- 国税庁「[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm