個人事業主の国保・国民年金切り替え手続き|退職後14日以内の段取り
公開日: 2026/6/7
広告(PR) 本記事にはアフィリエイト広告を含みます。掲載各社から紹介料を受け取る場合がありますが、手続き・制度は中立的に解説します。記事中の制度・保険料・期限は2026年6月時点の一般的な情報です。保険料の金額や具体的な取り扱いは、お住まいの市区町村・年金事務所・加入先の健康保険で必ずご確認ください。 本記事は情報提供のみを目的とし、手続きの代行は行いません。
会社を辞めて個人事業主になるとき、開業届と並んで早めに対応したいのが国民健康保険(国保)と国民年金への切り替えです。会社員のあいだは健康保険・厚生年金に加入していますが、退職するとその資格を失うため、自分で公的医療保険・年金に入り直す手続きが必要になります。
しかもこの手続きには、原則として**「14日以内」**という期限があります。開業準備でバタバタしているうちに見落としやすいポイントなので、この記事で段取りを整理しておきましょう。
この記事では、退職→個人事業主になる際の①国保・国民年金の切り替え手続き(期限・窓口・必要書類)、②健康保険の「任意継続」という選択肢との比較、③開業届とあわせた進め方、をまとめて解説します。
運営:ひとり開業ラボ
まず押さえる:退職すると「健康保険」と「年金」が切り替わる
会社員のときは、給与から天引きされる形で次の2つに加入していました。
- 健康保険(協会けんぽ または 健康保険組合)
- 厚生年金保険
退職するとこの2つの資格を失う(資格喪失する)ため、個人事業主は原則として次へ切り替えます。
| 退職前(会社員) | 退職後(個人事業主の原則) |
|---|---|
| 健康保険(協会けんぽ・健保組合) | 国民健康保険(市区町村)※または任意継続・家族の扶養 |
| 厚生年金保険 | 国民年金(第1号被保険者)(市区町村で種別変更) |
ポイントは、**健康保険と年金は「別の制度」**だということです。「健康保険を任意継続したから年金もそのまま」ということはありません。それぞれ手続きが必要です。
資格喪失日とは? 原則として「退職日の翌日」です。たとえば3月31日退職なら4月1日が資格喪失日。手続き期限はこの資格喪失日が起点になります(一般的な制度説明。詳細は加入先・市区町村でご確認ください)。
国民健康保険・国民年金の切り替え手続き(原則14日以内)
期限と窓口
国保・国民年金とも、資格喪失日(退職日の翌日)から原則14日以内に、住所地の市区町村の窓口で手続きをするのが原則です(2026年6月時点の一般的な説明。最新・詳細は市区町村・年金事務所でご確認ください)。なお、国民年金の種別変更はマイナポータルからオンラインで申請できる場合もあります。
税務署に出す開業届とは窓口が違う点に注意してください。国保・国民年金は市区町村(区役所・市役所・町村役場)です。
必要書類(一般的な例)
自治体により異なりますが、一般的には次のようなものを求められます。事前に市区町村の案内を確認しておくと二度手間を避けられます。
- 健康保険の資格喪失を証明する書類(退職日・資格喪失日が分かるもの。会社や旧保険者が発行する「資格喪失証明書」など)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- マイナンバーが分かるもの
- 基礎年金番号が分かるもの(基礎年金番号通知書など。年金の手続きで使用)
- 印鑑(自治体により必要な場合あり)
マイナンバーカードを健康保険証として利用する仕組み(マイナ保険証)への移行が進んでいます。保険証・資格確認書の受け取り方法や利用方法は、市区町村や保険者の最新案内をご確認ください(2026年6月時点)。
期限を過ぎたらどうなる?
14日を過ぎても手続き自体はできますが、注意点があります。国保の資格取得日は手続きした日ではなく資格喪失日まで遡るため、未加入だった期間の保険料も含めて、まとめて(さかのぼって)請求されます。つまり「手続きを遅らせれば保険料を浮かせられる」わけではなく、その間は保険証がない状態(医療費を一時全額負担しうる状態)になりかねません。期限内の手続きが安心です。
「健康保険の任意継続」という選択肢と比較する
健康保険については、退職後すぐ国保に入る以外に、**会社で入っていた健康保険を退職後も継続する「任意継続被保険者制度」**を選べる場合があります。年金ではなく健康保険だけの選択肢です。
任意継続のしくみ(協会けんぽの例)
- 加入要件:資格喪失日の前日まで継続して2か月以上、被保険者だったこと
- 申出期限:資格喪失日から20日以内(郵送の場合は書類が20日以内に到着していること)
- 加入できる期間:最長2年間
- 保険料:在職中は会社と折半でしたが、退職後は全額自己負担になります。退職時の標準報酬月額をもとに計算されますが、上限が設けられています(協会けんぽの場合、退職時の標準報酬月額がこの上限を超えるときは上限額で算出。令和7年4月分以降の上限は標準報酬月額32万円〔令和7年3月分までは30万円〕。料率は都道府県別)
上記は協会けんぽの一般的な内容です。健康保険組合の場合は要件・保険料の算定が異なることがあります。上限額は年度ごとに見直される可能性があるため、金額・要件は加入先(協会けんぽまたは健保組合)で必ずご確認ください(2026年6月時点)。
国保と任意継続、どちらを選ぶ?
一概にどちらが得とは言えません。判断材料を整理します。
| 比較軸 | 国民健康保険 | 任意継続(健康保険) |
|---|---|---|
| 保険料の決まり方 | 前年所得・世帯人数・自治体の料率など | 退職時の標準報酬月額(上限あり)×料率、全額自己負担 |
| 扶養(被扶養者)の考え方 | 「扶養」の概念がなく加入者ごとに算定される | 被扶養者の認定要件を満たせば扶養に入れられる場合がある |
| 期限 | 原則14日以内 | 20日以内 |
| 期間 | 継続加入 | 最長2年 |
| 向きやすいケース(傾向) | 単身・前年所得が低い | 扶養家族が多い/前年の給与水準が高い |
あくまで一般的な傾向です。実際の有利・不利は前年所得、家族構成、自治体の料率により変わります。国保の保険料は市区町村に、任意継続の保険料は協会けんぽ等に、それぞれ概算を確認して比較するのが確実です。任意継続は期限が短いため、退職前後の早い段階で両方の見込み額を出して比較しておくと判断しやすくなります。
なお、配偶者など家族の健康保険の被扶養者になる選択肢もありますが、開業して事業収入が見込まれる場合は認定されないことがあり、認定基準は保険者ごとに異なります。要件は加入先の健康保険にご確認ください。
国民年金の切り替え(種別変更)も忘れずに
健康保険で任意継続を選んだ場合でも、年金は別です。退職で厚生年金から外れるため、国民年金の第1号被保険者への種別変更が必要です。手続きは健康保険と同じく、原則14日以内に市区町村で行います。
国民年金保険料は定額(毎年度見直し)で、口座振替やまとめ払いによる割引制度などもあります。保険料の納付が経済的に難しい場合に申請できる免除・納付猶予の制度もありますが、要件・申請方法・保険料額は年金事務所・市区町村でご確認ください(2026年6月時点)。
将来に向けて上乗せ年金を考える場合、個人事業主はiDeCo(個人型確定拠出年金)や国民年金基金、小規模企業共済なども選択肢になります(いずれも掛金が所得控除の対象になる制度ですが、対象者・限度額・受取条件などの要件は各公式でご確認ください)。退職直後はまず公的年金の切り替えを優先し、上乗せは事業が落ち着いてから検討しても遅くありません。
開業届とあわせた段取り(チェックリスト)
退職して個人事業主になる時期は、手続きが集中します。窓口別に整理すると進めやすくなります。
| 手続き | 窓口 | 期限の目安 |
|---|---|---|
| 国民健康保険への加入 | 市区町村 | 原則14日以内 |
| 国民年金(第1号)への種別変更 | 市区町村 | 原則14日以内 |
| (任意継続を選ぶ場合)健康保険の任意継続申出 | 協会けんぽ・健保組合 | 20日以内 |
| 開業届の提出 | 税務署 | 事業開始から1か月以内 |
| 青色申告承認申請書 | 税務署 | 原則2か月以内 |
おすすめの順番は、**①期限が短い国保・国民年金(市区町村)を先に → ②開業届・青色申告承認申請(税務署)**です。市区町村と税務署は窓口が別なので、移動の段取りも考えておくと進めやすくなります。
開業届の具体的な書き方は開業届の出し方の記事で、オンラインでの提出は開業届をオンラインで出す方法で解説しています。何から手をつければよいか整理したい方は、必要書類をまとめた開業手続きのチェック記事も参考に、自分に必要な書類を確認してから動くと抜け漏れを防ぎやすくなります。
開業後の「お金まわり」も早めに整える
国保・国民年金の保険料は、確定申告で社会保険料控除の対象になります(その年に実際に支払った金額の全額が対象。詳細は国税庁・市区町村でご確認ください)。つまり、保険料の支払い記録をきちんと残しておくことが、翌年の確定申告での控除につながります。
退職直後は支出の管理がぶれやすい時期でもあるので、事業用とプライベートの支出を分け、記帳の体制を早めに整えておくと後がラクです。国民年金保険料の控除証明書なども、確定申告まで保管しておきましょう。経費として計上できるものの範囲はフリーランスの経費一覧の記事も参考になります。
記帳・確定申告まで見据えるなら、開業のタイミングで会計ソフトを決めておくと作業がスムーズです。クラウド会計ソフトは入門プランから青色申告(複式簿記・e-Tax)に対応しており、複式簿記による記帳と貸借対照表等の期限内提出、e-Taxによる電子申告(または優良な電子帳簿保存)といった要件を満たせば、青色申告特別控除(最大65万円)も狙えます(控除要件・金額は国税庁で要確認)。自分に合うソフトを絞り込みたい方は、いくつかの質問に答えて目安を確認できる会計ソフトの診断ツールも利用できます。
開業準備とあわせて会計ソフトや開業書類の作成を進めたい方は、入力ガイドに沿って書類を作れるサービスもあります。
(広告・PR) 以下は提携先サービスへのリンクです。開業書類の作成・会計の準備に活用できます。
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会計ソフトをまだ決めていない方は、機能・料金の違いを整理した会計ソフトの比較記事もあわせてご覧ください。料金・プラン名は変動するため、最新は各公式でご確認ください。
退職後の健康保険3択(国保・任意継続・扶養)の選び方は退職後の健康保険は3択でくわしく整理しています。
まとめ:退職後はまず市区町村で「14日以内」を意識
- 退職すると健康保険・厚生年金の資格を失うため、国民健康保険と国民年金(第1号)への切り替えが必要
- いずれも原則14日以内・市区町村の窓口で手続き。開業届(税務署)とは窓口が別
- 健康保険は**任意継続(20日以内・最長2年・全額自己負担)**という選択肢もある。扶養家族の有無や前年所得で有利・不利が変わるため、両方の見込み額を比較する
- 任意継続を選んでも、年金(国民年金第1号への種別変更)は別途必要
- 開業後の保険料は社会保険料控除の対象。支払い記録の保管と記帳体制を早めに整える(書類・会計の準備は次のリンクも参考に。広告・PR:マネーフォワード クラウド開業届の公式サイトを見るPR)
手続きは多いですが、窓口ごとに整理すれば落ち着いて進められます。なお、保険料の金額や具体的な取り扱い・期限は自治体や状況により異なります。最新かつ正確な内容は、必ずお住まいの市区町村・年金事務所・加入先の健康保険でご確認ください。
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- 記載の制度・保険料・期限・控除は2026年6月時点の一般的な情報であり、自治体・状況により異なります。最新かつ正確な情報は、市区町村・年金事務所・協会けんぽ等の公式情報で必ずご確認ください。
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出典
- 日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/20140710-03.html
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「健康保険任意継続制度(退職後の健康保険)について|よくあるご質問」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/voluntary_continuation/005/index.html
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「任意継続の保険料について」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/voluntary_continuation/005/index.html
- 国税庁 タックスアンサー No.1130「社会保険料控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1130.htm
- 厚生労働省「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kokunen-menjo.html