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会計・税務

ハンドメイド販売の確定申告はいくらから?副業・専業別の早見

公開日: 2026/7/3 / 更新日: 2026/7/3

本記事は、国税庁・e-Tax などの一次情報を確認のうえ、ひとり開業ラボ編集部が作成しています。 税制・料金・要件は改正されることがあるため、手続きの前に各公式サイト・所管官庁で最新情報をご確認ください。個別の判断は税理士など有資格者にご相談ください。
この記事でわかること

「minneやCreema、BASEでハンドメイド作品が少しずつ売れてきた。これって確定申告しないといけないの?いくらから?」——作家さんやネットショップ運営者からよく聞かれる悩みです。ネットで見かける「20万円まではセーフ」という説明は、条件を省くと誤解を生みやすく、住民税や在庫のところに落とし穴があります。

この記事では、ハンドメイド販売・ネットショップに絞って、①いくらから確定申告が必要か(副業・専業別)②判定は売上ではなく所得(売上−経費)で行うこと、③20万円以下でも住民税は別という重要ポイント、④事業所得か雑所得かの区分までを、国税庁の情報をもとにやさしく整理します。断定は避け、条件と出典を併記します。

このテーマの全体像はネットショップ・ハンドメイド販売の開業と確定申告 完全ガイドにまとめています。あわせてご覧ください。

結論:ハンドメイドの確定申告は「いくらから」?

先に要点です。いずれも一般的な目安であり、最終判断はご自身の状況と最新の公式情報で行ってください。

  • 判定に使うのは**売上ではなく「所得(売上−必要経費)」**です。ここが最初の勘所です。
  • **副業(会社員などの給与所得者)**が、給与1か所・年末調整済み・源泉徴収ありの場合、給与等以外の所得が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要になりやすい(いわゆる20万円ルール)。
  • 専業(給与がない方)は20万円ルールの対象外。事業所得等から基礎控除などの所得控除を引いてもなお課税所得が残るなら確定申告が必要になりやすい。
  • 20万円以下でも、住民税の申告は原則必要な場合があります(住民税に20万円ルールはありません)。

つまり「20万円以下なら何もしなくていい」「売上が20万円まではセーフ」という理解は、そのままだと誤解になりやすい、というのがこの記事の一番のポイントです。

まず大原則:判定は「売上」ではなく「所得」

ハンドメイド販売でとくに誤解が多いのが、判定に使うのは売上そのものではなく所得だという点です。所得は次のように計算します。

所得 = 売上(販売手数料が引かれる前の販売価格の合計)− 必要経費

たとえば、こんなイメージです。

  • 1年間の売上(作品の販売代金の合計):45万円
  • 必要経費(材料費・送料・梱包資材・販売手数料など):28万円
  • 所得:45万円 − 28万円 = 17万円 → 20万円以下と判定されやすい

逆に、売上が25万円でも経費がほとんどなければ所得が20万円を超え、副業でも申告が必要になることがあります。ハンドメイドは材料費・販売手数料・送料など経費になりうる支出が多い業種です。どこまで計上できるかはネットショップ・ハンドメイドの経費一覧フリーランスの経費一覧を参考に、日頃から記録しておくと判定がスムーズです。

注意:販売サイトから振り込まれる金額は、販売手数料が差し引かれた後の「入金額」であることが多いです。売上は原則として手数料が引かれる前の販売価格で計上し、差し引かれた手数料は経費(支払手数料など)として計上するのが一般的な整理です。相殺後の入金額だけで所得を判断しないよう気をつけましょう。

副業(会社員)の場合:20万円ルールの正しい要件

会社勤めをしながら副業でハンドメイドを売っている方に関わるのが、いわゆる20万円ルールです。国税庁タックスアンサーNo.1900・No.2020の取り扱いによると、給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象となる人は、給与・退職所得を除く各種所得の合計が20万円を超えると所得税の確定申告が必要、とされています。裏を返せば20万円以下なら所得税の確定申告は不要になり得る、というのが中身です。

押さえておきたい前提は次のとおりです。

前提条件内容
対象者主に給与所得者(会社員・パート等)。給与1か所が基本形
年末調整その給与について年末調整が済んでいること
源泉徴収給与の全部が源泉徴収の対象であること
判定する金額給与・退職所得を除く所得の合計が20万円を超えるか
「20万円」の中身所得(売上−必要経費)。売上ではない

給与を2か所以上から受けている場合などは判定が変わります。また、医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)などでそもそも確定申告をする場合は、20万円以下のハンドメイド所得も含めて申告するのが原則です。「医療費控除のついでに申告するけど、副業は20万円以下だから書かない」という整理は誤りになりやすいので注意してください。副業の申告全般は副業の確定申告はいくらから?でも詳しく扱っています。

専業(給与がない)の場合:20万円ルールは対象外

会社員をやめてハンドメイド一本にした方や、もともと給与収入がない方は、この20万円ルールの対象ではありません。20万円ルールはあくまで「給与所得者」向けの取り扱いだからです。

専業の場合は、ハンドメイド販売による事業所得(または雑所得)などから、基礎控除をはじめとする各種の所得控除を差し引いても、なお課税所得が残るときに、確定申告が必要になりやすい、という考え方になります。基礎控除など控除の額や計算は年によって変わり得るため、具体的な金額ラインは断定できません。おおまかな税額感をつかみたい方はかんたん税金計算ツール(登録不要)も目安としてご利用ください。最終的な要否は、その年の控除額や他の所得も含めて判断する必要があるため、国税庁の確定申告書等作成コーナーや税理士でご確認ください。

最重要:20万円以下でも住民税の申告は原則必要な場合がある

ここが一番つまずきやすいところです。20万円ルールは「所得税の確定申告」を不要にする取り扱いにすぎず、住民税には20万円以下で申告不要とする規定がありません。

そのため、副業で確定申告をしない場合でも、ハンドメイドの所得があれば、お住まいの市区町村への住民税の申告が原則として必要になることがあります。「所得税は申告不要でも、住民税は別」と覚えておくと安全です。

区分20万円ルール(20万円以下なら申告不要)
所得税(確定申告)あり(要件を満たす給与所得者の場合)
住民税(市区町村への申告)なし(20万円以下でも原則申告が必要になり得る)

なお、確定申告をした場合は、その内容が市区町村へ通知され住民税額が計算されるため、別途の住民税申告は原則不要です。住民税の申告の要否・方法は自治体ごとに案内が異なる場合があるので、詳細はお住まいの市区町村でご確認ください(2026年7月時点)。

事業所得か雑所得か:ハンドメイドの区分

ハンドメイド販売の所得は、規模や続け方に応じて事業所得または業務に係る雑所得などに区分されます。この区分は、青色申告の可否や開業届の要否に関わる重要な論点です。

国税庁は令和4年(2022年)10月の通達改正で、次のような整理を示しています。

  • その活動が社会通念上「事業」と称する程度で行われているか(継続・反復・独立して営んでいるか)で判定する
  • 帳簿書類の保存があれば、原則として事業所得として取り扱える
  • 帳簿書類の保存がない場合は、原則として業務に係る雑所得に区分される(その収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合を除く)
区分ハンドメイドでのイメージ開業届青色申告
事業所得継続・反復して制作販売し、材料費や手数料を帳簿につけ保存提出が前提申請すれば可(最大65万円控除など、要件あり)
業務に係る雑所得ごくたまに出品する小規模・帳簿の保存がない等不要不可

「継続的・反復的に作って売り、材料費・送料・手数料などを帳簿につけて保存している」状態であれば、概ね事業所得として扱いやすくなる、という整理です(あくまで例示で、最終的には個別事情で判断されます)。開業届を出すか・屋号や自宅住所をどうするかはハンドメイド・ネットショップに開業届は必要?で扱っています。

帳簿づけと申告をラクにするツール (広告・PR)

事業所得として青色申告(最大65万円控除など)を目指すなら、複式簿記での帳簿づけが要件に関わります。ハンドメイドは材料費・送料・手数料など少額の取引が積み重なりやすく、手作業だと負担が大きいため、多くの方がクラウド会計ソフトを併用しています。銀行口座やネットショップの入金明細を連携すると、明細を自動で取り込んで仕訳候補を作るため、記帳の手間を軽減しやすい傾向があります。

開業届を出すと決めた場合は、入力ガイド型の無料ツールで開業届と青色申告承認申請書をまとめて作成しやすくなります。

料金・プラン・対応範囲は変動するため、最新は各公式でご確認ください。どれが合うか迷う場合は会計ソフトの比較ガイドもご利用ください(2026年7月時点・最新は公式で要確認)。

見落としやすい在庫(売上原価)の考え方

ハンドメイド特有の注意点が在庫です。年末にまとめて材料を仕入れても、その年に売れた分に対応する材料費だけが経費(売上原価)になるのが原則です。売上原価は次の式で計算します。

売上原価 = 期首在庫 + その年の仕入 − 期末在庫

つまり年末に売れ残った材料や完成品(期末在庫)は、その年の経費から差し引いて翌年以降に繰り越します。そのため年末に棚卸をして在庫金額を把握しておく必要があります。「仕入れをたくさんしたから今年は経費が多い」と単純には言えない点に注意しましょう。在庫や科目別の経費の考え方はネットショップ・ハンドメイドの経費一覧で詳しく整理しています。

なお消費税については、基準期間の課税売上が1000万円を超えると課税事業者になります。インボイス登録は主に取引先が事業者(BtoB)かどうかで判断され、ハンドメイドは個人のお客さま中心なら登録の必要性は下がる傾向です。あわせて、インボイス登録した免税事業者の負担を軽くする「2割特例」は、個人事業者の場合令和8年分(2026年分)が適用の最後とされている点も、登録を検討する際は目安として知っておくとよいでしょう(その後の取り扱いや期限は変わり得るため、詳細は国税庁で要確認)。判断はインボイス登録の判断もご参照ください。

まとめ:売上ではなく「所得」で、住民税は別

ハンドメイド販売の確定申告ラインは、条件を省くと誤解しやすい論点です。最後に整理します。

  • 判定は売上ではなく所得(売上−経費) → 材料費・送料・手数料などを差し引いた金額で判断する。
  • 副業(給与所得者) → 給与1か所・年末調整済み・源泉徴収ありなら、給与等以外の所得が20万円超で所得税の確定申告が必要になりやすい。
  • 専業(給与なし) → 20万円ルールは対象外。控除を引いてなお課税所得が残れば申告が必要になりやすい。
  • 20万円以下でも油断しない → 住民税は別で、確定申告をしない場合は市区町村への住民税申告が原則必要な場合がある。
  • 区分と在庫 → 帳簿の保存があれば事業所得として扱いやすい。売れ残った在庫はその年の経費にならず棚卸が必要。

規模や続け方によって最適な進め方は変わります。判断に迷う場合は、税理士など有資格者へのご相談をおすすめします。制度・基準・期限は2026年7月時点の目安です。手続きの前に国税庁・お住まいの市区町村など公式の最新情報を必ずご確認ください。

あわせて読みたい

よくある質問

ハンドメイド販売の確定申告はいくらから必要ですか?
判定は売上ではなく「所得(売上−必要経費)」で行うのが基本です。会社員など給与所得者が副業でハンドメイド販売をしている場合、給与を1か所から受け年末調整が済んでいて源泉徴収されているなら、給与・退職所得以外の所得が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要になるのが一般的です(いわゆる20万円ルール)。給与がない専業の方はこの20万円ルールの対象外で、事業所得等から基礎控除などの所得控除を引いてなお課税所得が残る場合に確定申告が必要になりやすい傾向です。自分が対象かは国税庁の案内でご確認ください(2026年7月時点・最新は公式で要確認)。
ハンドメイドの売上が20万円以下なら、本当に何もしなくていいのですか?
いいえ、注意が必要です。まず判定は売上ではなく所得(売上−経費)です。そして20万円ルールは所得税の確定申告を不要にする取り扱いにすぎず、住民税には20万円以下で申告不要とする規定がありません。確定申告をしない場合は、ハンドメイドの所得が20万円以下でも、お住まいの市区町村への住民税の申告が原則として必要になります。また専業の方はそもそも20万円ルールの対象外です。詳しい住民税の手続きはお住まいの自治体の案内でご確認ください(2026年7月時点)。
ハンドメイド販売は事業所得と雑所得のどちらになりますか?
国税庁の令和4年10月の通達では、その活動が社会通念上「事業」と称する程度で行われているかで判定し、帳簿書類の保存があれば原則として事業所得として取り扱える整理が示されています。帳簿書類の保存がない小規模なケースは、原則として業務に係る雑所得に区分されます(収入金額300万円超でかつ事業所得と認められる事実がある場合を除く)。継続・反復・独立して営み、材料費や手数料を帳簿につけて保存していれば事業所得として扱いやすくなりますが、最終判断は個別事情によります。迷う場合は税理士など有資格者にご相談ください(2026年7月時点)。
売れ残った在庫の材料費は、その年の経費にできますか?
原則として、その年に売れた分に対応する分だけが売上原価(経費)になります。売上原価は「期首在庫+その年の仕入−期末在庫」で計算し、年末に売れ残った在庫(材料や完成品)は経費から差し引いて翌年以降に繰り越すのが基本です。そのため年末に棚卸をして在庫金額を把握する必要があります。仕入れをまとめてした年でも、売れていない分はその年の経費にならない点に注意してください。詳しくは経費の記事もご参照ください(2026年7月時点・最新は国税庁で要確認)。

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